映画館でマナーの悪い客にであった話
「お客様は神様です」という言葉の本来の意味、舞台人が神に捧げるつもりで芸を披露することで最善のパフォーマンスができる、というのを知ってから、接客が楽しくなりました。みのです。
さて、わたくしはそこそこ軽めの映画ファンです。映画を映画館でリラックスして観るのがすき。月に2,3回、映画館で観ます。
今日も楽しみにしていた映画を観に行きました。そこで、出会ってしまったのです。
私の(たいして長くはない)人生史上最もマナーの悪い客に。
私は本編開始ギリギリで席につきたいので、いつも端の席をとります。
今日もいつも通り真ん中より後ろより、入り口に近い通路側の席に座りました。本編まで予告編があと2本という所でした。
そこでちょっとした違和感がありました。
私の座席の隣、誰もいない席にチャイルドシートが置いてあったのです。*1
あとは思ったより周辺に男性が多い。
まあ、だからどうということでもないので座ります。
ちょうど『となりの怪物くん』の予告編が流れていました。と、私の真後ろに座っている男性3人組がなにやら楽しそうに話しはじめました。怪物、というワードがツボだったようで、ゲラゲラ笑っています。訳わからん。
さらに、私の横、2つ空けて隣に座っている男性がものすごいペースでポップコーンを食べているのにも気がつきました。咀嚼音がものすごかったからです。たぶん、何か悲しいことがあって、口は閉じられることを忘れてしまったのだと思います。
その男性はポップコーンを口に運ぶペースもすごかった、音だけでの判断ですが、一秒に6粒は食べてました。それはもう親の敵かのごとく。秒速6粒のペースは全く落ちることがありません。ダイソンのごとく。
まあ、さすがに映画が始まれば、後ろの怪物大好き少年たちも、隣のポップコーンは親の敵野郎も静かになるだろう、と私は静かに映画泥棒を眺めていました。
最初に申し上げます。今日の最大の不幸は、この時席を移動しなかったことです。そう、ここで甘く考えすぎた私がすべて悪いのです。映画の客入りは4割ほどで、前の方はすいていましたから、本当はいけないことですが移動してしまえばよかった。
戻れるのならあの瞬間に戻りたい。もう一度映画泥棒からやり直したい。
ご想像の通り、映画が始まっても後ろの小僧どもはしゃべり続け、横の男はポップコーンをザクザクと貪り続けました。
幸いにも、ポップコーン男は映画を楽しむ心は持っていたようで、感動のシーンでは気にならない程度に静まってくれます。
しかし、後ろの怪物大好き小僧たちは黙るということを知らないようでした。*2
真剣なシーン、静かな場面に限ってひとりが何かを呟き、それを受けて3人でゲラゲラ爆笑する。登場人物の方言で発するセリフを真似る。背もたれをける。なにか物を落とす。そしてまた爆笑。しまいにはシャッター音が聞こえてきて、素敵な映画を台無しにされた怒りを通りこして、呆れてしまいました。
その時、前方の席から、泣き声が聞こえてきました。明らかに赤ちゃんです。*3
そこで私は、自分がある大きな思い違いをしていたことに気がつきました。
きっとこれは、ママズクラブシアターなんだ!
周りの客のマナーが悪いんじゃなくて、それを許せない私がここにいるのがおかしいんだ!!だって赤ちゃん泣いてるもの。お母さんだって、素敵な映画と子育て両立したいもの。ポップコーン男だって、静かにポップコーンを食べられなくても映画を見たいよね。後ろの小僧たちだって、5分も黙ってられないけど、映画を楽しむ権利はあるよね。そうだよね。だれにでも、素晴らしい映画を映画館で楽しむ権利があるんだ。それを邪魔する権利なんて誰にもないんだ!!
彼らは自分が赤ちゃん以下だってことを理解して、ちゃんとママズクラブシアターで観ているじゃないか!しょうがないんだよ、努力しても人に迷惑をかけずみられない人が世の中にはいるんだよ!かわいそうに。それを理解できない私って、心の狭い人間なのかしらん。
ということで、私の心はなんとか落ち着きましたとさ。
これからは、なるべく空いている日に、ビジネス街とかにある映画館に行くことをよりいっそう心がけよう、と誓ったのでした。
あいつら、いつかポップコーン喉につまらせて生死の境をさまよえばいいな。